2009年6月 3日 (水)

国家資格化への新たな動き

インターネットを細かくチェックしておられる方はすでに気づかれていると思いますが、人間性心理学会のホームページに、国家資格化の新たな動きに関する記事が掲載されています。

人間性心理学会ニュースレターNo.65のページを参照

この動きは、臨床心理職国家資格推進連絡協議会に参加する団体には、すでに伝わっているところだと思います。この記事の最後のほうに、「日本臨床心理士会は・・・決議」とありますが、その点はまだ会員には伝達されていないので、どういう動きか気になります。

この記事を読むと、「一資格一法案」への動きが出てきているということがわかります。これは、この4年間の「二資格一法案」の苦難を乗り越える新たな方向ですね。

資格が「ひとつ」になることは、多くの人が望んで来たことだと思うので、そういう新しい方向が出てきたことは大変嬉しいです。しかし、「一資格一法案」は、どういう「ひとつ」になるのでしょうか。いろいろと考えられますが、医療心理師の案と臨床心理士の動きを合わせていく「ひとつ」ということのようです。

  1. 名称はどうなるの?  ○○心理師とか、もっとシンプルなもの?
  2. 領域はどうなるの? 医療限定ではないわけですよね?
  3. 資格の性質はどうなるの? 名称独占ということしかないでしょうね?
  4. 受験資格はどうなるの? 学部卒と修士修了とを合わせるのかな???
  5. 医師や他の職種との関係は?  医療では医師の指示ということですね?
  6. 主務官庁はどうなるの? 厚生労働省と文部科学省と・・??
  7. 現任者はどうなるの? いわゆる移行措置?範囲はどうなるの??
  8. 試験はどの機関がするの? 受験資格の認定はどこがするの?

など、いろいろな疑問が湧きます。今まで数十年にわたる議論、「二資格一法案」から4年間にわたる議論がありましたので、論点は出尽くしているようではあります。具体的な内容にはまだまだ調整の必要なことがありそうですが・・・。

この動きに呼応して、次のような勉強会もありますね。

心理職資格問題勉強会@大阪・天満橋

少人数の有志でしっかり議論する会にしたいそうです。国家資格のことが、政治的な力関係で決まっていくのは、ある程度しかたがないかもしれませんが、私たちの立場からは、「現場の仕事」がより良いものになるための国家資格(もし作るなら)であってほしいです。この勉強会は、「現場の実務からみた資格問題」ということにポイントがおかれるようです。新型インフルエンザも落ち着きましたので、大阪近辺の方々は参加されてはいかがでしょう。

さて、私が上にあげた8つのポイントの中で、特に気になっているのは、4の受験資格です。学部卒と修士修了を「ひとつに」合わせるということは、何らかの形で、たとえば「Ⅰ種とⅡ種」とか、「正と准」とか、「正と補」とか、そういう区別がなされる「ひとつ」になるのでしょうか。

そういうことを考えているのもあって、前回「正看護師と准看護師のことなど」という記事を書きました。以下に、この記事を少し補足します。

医療に正看護師と准看護師があるのは、単に「医師が准看護師を作って安く使いたい」という理由だけではないと思います。もう少し深く考えないと、この国の医療従事者や対人援助職の労務問題が見えて来ないのではと思います。

准看護師の廃止に慎重論をとなえている日本医師会の主張を読むと、看護職を必要な人数確保するために、どうしても准看護師という養成ルートも必要ではないかということが書いてあります。

医療というのは、「どの地域でも」「どんな経済社会状況の人でも」「必要なときにいつも」受けられるものにすることが重要です。看護職も、日本全国のどこの地域にも一定数確保される必要があるということです。近年、施設基準の関係で、正看護師は都市部の大病院に集中しており、地方の小さい医療機関では正看護師の確保が困難だそうです。それで、日本医師会は、地方の小さい医療機関での看護職確保のために、准看護師制度の存続を主張しているようです。

看護職というのは、全国で120万人以上の需要があり、全国的に見れば、人員確保はまだまだ簡単ではないということのようです。女性が多い職種で、結婚・出産しても働き続けられる条件が確保されないと、どんなに養成しても仕事を続けることが難しいという課題も大きいようです。

さて、このことが臨床心理職とどういう関係があるかということについてですが。

資格とか養成とかいうことは、全国のどんな職場に、だいたいどのぐらいの人員を配置していくか、どのように配置していくかという見込みがあってやっていったほうがいいことだと思います。もし、心理の資格が、学部と修士を合わせた「Ⅰ種・Ⅱ種」のような資格になるなら、具体的に、その「Ⅰ種」「Ⅱ種」が、全国のどんな職場にどのように配置されるかということを想定していく必要があると思います。

臨床心理職は、看護師と違って、全国百万人も必要な職種ではないでしょう。現在の状況を見ていると、今の2万人程度でも「供給過剰」のような印象があります。

また、看護職に見られるように、この国の対人援助職が、労働条件の困難を原因に、職場を転々としたり、結局仕事を辞めたりする場合があるとすればそれも問題です。昨今の状況から、心理職も、「定着」できない職種になりつつあるのではという危惧があります。

私は、臨床心理職というのは、しっかり養成された一定の人数の人が、ある現場に定着して積み上げて仕事をすることが望ましいと思っています。

いろいろな困難の中でも、新しい「ひとつ」の資格が、将来的に、需要と供給のバランスのとれた「しっかりした養成」、つまり、「この資格の人なら、一定の技術・知識・倫理のトレーニングができている」ということで、必要な職場に信頼感と安定感を持って送り出せるようなシステムの構築に役立つようにしていかなくてはならないと思っています。

2009年5月30日 (土)

正看護師と准看護師のことなど

今ちょっと、必要があって、正看護師と准看護師のことをインターネットで調べています。

Wikipediaより「看護師」

看護師の職能団体のホームページに「看護統計資料室」があります。

社団法人日本看護協会のホームページ

その資料によりますと、2006年の時点で、日本全国で看護師・准看護師合わせて約126万人、そのうち、正看護師約85万人、准看護師約41万人だそうです。--ちなみに医師は約28万人です。--

Google検索ですぐに見つかる、経験者の方のホームページ

経験者が語る准看護師と正看護師の違い

経験者の目からわかりやすく書いてあって、現場がイメージしやすいです。

以上のページなどから調べると、准看護師は、昭和20年代に、看護職の人数を確保するために、中学校を卒業して働きながら取れる資格としてスタートしたものだそうです。早朝と夜間に働きながら午後の時間帯に学校に通うハードな養成のことや、奨学金の返済免除のこと、業務はほとんど正看護師と同じなのに待遇が違うことなど、さまざまな課題があり、見直される方向にあるようです。

日本医師会が、“安く雇える看護職”としての准看護師を維持するため、准看護師制度の廃止に反対していると噂されていますが、日本医師会としては、看護職の人員確保のために、2年で取得できる准看護師の存在意義があるという意見のようです。

日本医師会のホームページ

日本医師会のホームページより「准看護師問題について」

日本医師会のホームページより「准看護師が地域の医療を支えています」

それでも、上記の日本看護協会の看護統計資料室を見ていただくとわかるように、徐々に准看護師が減って正看護師が増えてはいるようです。

2009年4月22日 (水)

カウンセリングの費用

このところ、臨床心理職の年収ということがブログ界隈で話題です。(ロテ職人の臨床心理学的Blog「臨床心理士の年収についてもっと考えてみるよ」など)

当ブログでもこのところお金に関係する話題をとりあげています。お金のことなので、本当はいろいろとデータをあたって書かないといけないのですが、まず今日のところは、これから調べたいことについて書きます。

臨床心理職の年収ということを考えることは、カウンセリングなどの臨床心理の仕事に対して、どのように費用が支払われるかを考えることと表裏一体だと思います。

一人一人のクライアントに丁寧に時間をかけていく仕事であるカウンセリングなどの臨床心理の仕事は、「単位時間あたりに効率よく結果を出す」というような競争原理で収益を上げる産業にはなじまないことは明らかだと思います。

それでは、どうやって費用をいただいたらいいかということを考えると、少なくとも2通りの費用の集め方があるのではないかと思います。

ひとつめは、以前は「開業心理相談」と言っていて、今は「私設心理相談」と言うようになっていますが、臨床心理職が相談室を開設して、クライアントから直接お金をいただくやり方です。この場合、相談1回(45分~50分のところが多い)の費用が、安くて5000円、平均が1万円前後、高いところはさらに高いという状況だと思います。平均1万円前後の設定なのは、それぐらいにしないと経費が払えず生活できないからですね。(いつか時間があるとき、経費の計算を示したいとは思っていますが…。)しかし、払うほうにとってはなかなか大金です。

二つめは、医療機関や教育機関などの中で、その機関の仕事の一部を担っているという形で費用をいただくやり方です。この場合は、クライアントが直接払うお金は軽減あるいは無料で、その代わりに、税金や社会保険料から間接的に費用をいただいているということになります。

この二つめには、いろいろなバリエーションがあると思います。たとえば、産業領域で、会社が福利厚生としてカウンセリング料を支払ってくれて、クライアント自身の負担は軽減されるという場合もあります。また、大学院など臨床心理職の養成機関で、養成のためのセンターを作って、費用はおおかた大学の資金(学生たちの出した費用+税金)でまかなわれ、クライアントの負担は軽減されるというやり方もあります。

このように、カウンセリングなどの費用の負担のやり方には、「クライアントが直接高い料金を支払う」というやり方と、「税金や社会保険料などから費用の一部または全部が負担されて、クライアントの直接的負担は軽減または無料になる」というやり方があると思います。

何を当たり前のことを、と、思う方々も多いかもしれませんが、臨床心理の仕事を「職業」として考えるなら、費用をどのように払っていただくかということの議論は避けて通れないわけです。費用をどう集めるかをしっかり考える部門が、この仕事をしている人たちの内部に組織されていないと、いくら「収入を増やして」と言っても増やす方法がありません。

おそらく、この「直接支払い方式」と「間接支払い方式」の二つの方式は、簡単には両立しないことなのでしょう。心理職の資格の問題が、いろいろと混乱して来たのも、実はこの点に関わっているのではないかと、私はこの頃思っています。

今まで色々と書いて来たことと重なってもいますが、また少しずつ書いて行きたいと思っています。みなさんも一緒に考えてみてください。

2009年4月 9日 (木)

「社会保障の政策転換」を読んで

経済学とか数学は、最も苦手な科目ですが、臨床心理職が職業として確立するために社会の中で何が必要かを考えていて、読むようになったホームページがあります。

権丈のホームページ

このホームページをもとにした本「社会保障の政策転換」は、経済学の素人が読んでもなかなか面白くてお勧めです。政策とか財源とかいうことをどういう風に考えていったらいいかが緻密に書かれています。

私が読み取ったことを簡単にまとめると

「医療・介護、保育・教育」の4つを、必要に応じて、すべての人が利用できるように政策的にやっていくのかどうか…

ということを、みなさんどうしますか、ということが書いてある本です。

そして、これらを支える年金、保険、その財源について、ただの意見を言うのではなく、経済学・数学を使って、きちんと考えることがどういうことかが書いてある本です。

税金や社会保険料の形で、国民から広く財源を集めて、それを「政策」によって、必要なところに分配するのが、政府の役割です。

「医療・介護、保育・教育」の4つについて、誰もが安心して利用できるようにしっかり税金や社会保険料を集めて再分配することが、結局は、内需の拡大や、経済的地位の低い世帯の生活の安定につながるようです。そして、そのために、目先の損にとらわれて税金や社会保険料を出し渋るよりも、しっかりそれらを払って、社会保障費を循環させるほうが、経済全体も安定するということのようです。

社会保障をしっかりしようと思うなら、一定の増税は必要だということです。しかし、それを国民が納得するには、「ある程度信頼されている政府」が必要です。自分たちの預けているお金を、ちゃんと使ってくれると思えない政府にはお金を預けられませんから。

そういうようなことが書いてある(と理解した)のですが、なぜこれが臨床心理職に関係あると思うかを書きます。

臨床心理の仕事を、税金や社会保険料から財源をもらって、できる限り多くの人々に利用しやすくするのが良いのか、それとも、一部の利用したい人が高いお金を払ってでも利用したければするのが良いのか、という議論があると思います。

そこのところがどっち付かずなままだと、職業としての確立が進まない、どちらに軸足を置くかを決めないと臨床心理の職業としての安定が進まない、と、権丈先生の本を読んで考えました。

そして、「税金や社会保険料から財源をもらう仕事」というところに重きを置くと決めるなら、しっかり「これこれだけのことをするので、こんだけ税金や社会保険料からお金を私たちにください」ということを主張しないといけないと思います。

このことを、「社会保障の政策転換」では「見積書」と書いてありまして、たとえば医療者たちに、「望ましい医療は、これこれこれだけのことをするから、これだけ財源をください」と「見積書」を作ってはどうかと提案しています。

数学は苦手ですが、臨床心理の「見積書」を、データを示して社会に提示する仕事は、どの機関が担えばいいのでしょうか。法人化された日本臨床心理士会に、その役割を期待したいと、私は思っています。というか、日本臨床心理士会を批判するのではなく、そういうデータ集めや政策立案の仕事を日本臨床心理士会ができるように、みんなで一緒にやっていくのでないと、「政府が信用できないから税金は払わないよ!」と言う人が増えて没落する国のようになるのではと…。

社会保障の政策転換―再分配政策の政治経済学V 社会保障の政策転換―再分配政策の政治経済学V

著者:権丈 善一
販売元:慶應義塾大学出版会
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2009年4月 3日 (金)

信用を高める

私は、職業として臨床心理の仕事をやっていくということに関心を持っています。毎日臨床心理の仕事をして、それで得た収入で普通に生活するということです。

文科省のスクールカウンセラー事業というのは、臨床心理の側から、自分たちはこんな仕事ができますよ、やらせてください、ということを全国的・組織的にアピールしたという点で、初めての経験だったのではないかと思います。

社会的に大規模な事業が継続・発展するためには、「この人たちには、これを任せて大丈夫」という信用が必要だと思います。「この件については、この人たちの中の誰かに頼んでみよう」という社会的な期待に添えるだけの準備が、臨床心理を職業とする私たちの側にあるかどうかということです。

「この人に」ではなく「この人たちに」という点が、社会的な事業を請け負う場合に大事なことだと思います。「この人たち」の中なら誰でも一定の質の仕事をできるという信用があるかどうかということです。

「医師」や「弁護士」なら、その資格を持った人たちに一定の仕事をしてもらえるという信用があります。

スクールカウンセラー事業は、臨床心理の職業人が、そういう組織的な信用を得ながら全国的に働くことに挑戦している仕事だと思います。スクールカウンセラーが何らかの形で常勤職になるということは、夢のまた夢かも知れませんが、そうなる日までこの挑戦は続くのだと私は個人的には思っています。

臨床心理の仕事は、いずれにせよ収益はあまり見込めない仕事でしょう。そして、困っている人たちを支援する仕事ですので、なるべく費用は税金や社会保険で補助してもらえるとありがたいという仕事でしょう。(そういうベースがあって、その上でさらに1時間1万円前後払っても心理専門職に相談に行きますという自由契約の部分があるということだと思います。)

税金や社会保険の中で、少しだけ私たちが仕事をするための財源を分けてほしいというのが、臨床心理の仕事の大切な側面だと思いますが、財源を分けてもらうには、相応の信用が必要ということだと思います。

この4月1日に、日本臨床心理士会と日本心理臨床学会は一般社団法人になりました。法人化によって、私たちが社会的信用を高める活動ができるかどうか、すなわち「質」の部分を組織としてどう確保できるか、いっそう厳しく問われることが望ましいと思います。

2009年3月21日 (土)

お金の話、つづき

臨床心理士も、仕事である以上、その報酬で生活できるという大前提があるわけです。しかし、現実はなかなか厳しい面があります。(さいころじすと日記「使い捨てにされる心理専門職-派遣よりひどい雇用実態-」参照

サラリーマンの平均年収をネットで調べると、20台で300万円台前半、30台で400万円台後半、40台、50台で500万円台後半ということのようです。

1日8時間×週5日を年間50週間働くとすると、年間2000時間労働できることになります。ですので、時間給2500円だと単純なかけ算で年収500万円になります。1日2万円です。

ところで、時給5000円前後のスクールカウンセラーは、年間900万円前後稼げるのではと誤解されがちですが、そうではありません。スクールカウンセラーは、1校あたり週3~8時間で年間30~35週という仕事です。一人あたり受け持てる学校数にも限りがあります。この条件で同年代のサラリーマン平均年収を稼ぐことは、なかなか難しいと思います。

時間給5000円、週4時間、年間30週という仕事で、ある曜日を固定して使うと考えましょう。その曜日あたりの年間報酬は60万円です。その曜日には、他の固定した仕事は入れられないと仮定して、1日8時間×年間50週に換算すると、それは、時給1500円ということになります。

自治体では、いろいろな相談員や判定員を「週4日」程度の嘱託職員で雇っているところも多いのですが、1日7時間週4日で月収15万円前後というところが多いようです。これは時間給で1300円前後ということになります。この形の嘱託職員を4日やって、それに加えて、たとえばスクールカウンセラーを1日やって、年収250万円という線が出てきますね。

なかなか厳しいことです。

私個人がずっと理想に考えているのは、心理専門職が、1日8時間×週5日×年間50週×時間2000円~3000円の仕事になることです。要するに、サラリーマンの平均年収並みになることです。

つまり、普通に食べていける(家族を扶養することもできる)職業になるということです。臨床心理士の認定資格ができて20年経ちましたが、この基礎基本の条件について、組織としての答えが出せているとは言えない現状があると思います。

臨床心理士の認定資格ができて、SCができた時、年収900万円ということを目標に置いていたということを耳にしたことはあります。(その意味で時給5000円だったということらしいのです。)しかし、現状からすれば、それは現実的な目標とは言えないでしょう。一部にそういう人がいてももちろん構わないわけですが、心理専門職が、ひとつの普通の職業として社会に根付くためには、サラリーマン平均年収(年齢に応じて)ということが、組織の目標になると考えます。

ではどうしたらいいのか…。つづきはまた書きますね。

2009年3月15日 (日)

働くことが希望になる

先日の精神保健領域の研修会で、講師の先生からのお薦めの本がありました。

この世でいちばん大事な「カネ」の話 (よりみちパン!セ) Book この世でいちばん大事な「カネ」の話 (よりみちパン!セ)

著者:西原 理恵子
販売元:理論社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

「カネ」の話とありますが、「働くこと」について、そして「人であること」について、サイバラ流に力強く楽しく書かれた本でした。フリーランスで絵を描いて稼ぐと決めて、どんな工夫や気迫で仕事をして来たかの話など、非常勤かけもち心理職の私にとっては、ガツンと気合いを入れられる内容です。西原さんは、アルコール依存症の家族を持った経験から「人を、人でなくしてしまうものはいったい、何なのか?」という問いを抱き続けており、その問いが西原さんをこれだけ豊かな仕事へと向かわせているようです。

私たちの仕事は、なかなか「カネ」につながりにくい仕事ですが、しかし、働く以上は、どうやったら稼げるのか考えなくてはなりません。「何々がないからお金にならない」ではなく、ないもの尽くしのマイナスから出発して、「だから稼げる」と考える力を、この本はくれるように感じました。

2009年3月 2日 (月)

関西地区研修会ありがとうございました

昨日、第1回関西地区精神保健医療福祉領域研修会が無事に終了しました。まず、ご後援いただいた団体の皆様、参加していただけなかったけれども応援いただいた皆様に深く御礼申し上げます。そして、ご参加いただいた皆さん、ご講演いただいた羽下先生、ご協力いただいた甲南大学の皆様、話題提供いただいたお二人含めスタッフの皆さん、本当にありがとうございました。

研修会は、スタッフ13名を含めて60名以上という盛況でした。

内容を簡単にご報告します。

話題提供は、「都会の病院」と「田舎のクリニック」という対照的な2つの機関で働いているお二人にお願いしました。まず前半は、精神科病院の急性期病棟で、カンファレンスやアセスメント、心理教育、喫茶などを通じて、心理職の視点を他の職種にどう伝えているかという勘所を盛りだくさんに話していただくことができました。

後半は、精神科クリニックで、心理面接やデイケアの構造やプログラムを作ることに、心理職がリーダーシップを発揮する様子を中心にまとめていただきました。お二人の発表に共通するのは、「こころ」「発達」「関係」という目に見えないものを、目に見える形にして伝える心理職のあり方だったと思います。

羽下先生のご講演は、「コミュニティー活動」「メニュー化」などをキーワードに、軽妙な語り口で、心理職の本質的な心構えを、ほっこりと伝えていただきました。

グループディスカッションをする予定でしたが、人数が多かったのでシンポジウム形式にしました。フロアから何人か、それぞれの現場の状況に即したご発言をいただきました。時間が少なかったのが残念でした。

大学院生からベテランの心理職まで、関西地区一円から幅広く参加していただいたことが、大変嬉しかったです。

今回の研修会では、5月から1か月半に1回程度の打ち合わせを重ねて丁寧に準備しました。十分に練り込んで、スタッフ一同本当に協力して進めて来られたことが、すばらしかったと思っています。

私は、すっかり気を良くして、第2回、第3回とコツコツとこの会を続けたいと思っています。このブログを読んでいただいている方々で、私たちと一緒に研修会を作って行きたいと思われる方、またぜひご参加ください。

2009年3月 1日 (日)

第1回関西地区精神保健医療福祉領域研修会のお知らせ

3月1日に神戸市で、精神保健医療福祉領域の臨床心理職の研修会を開催します。詳しくは、研修会のホームページをご覧ください。

研修会の会場が変更になりました!詳しくは上記ホームページをご覧ください。

※会場は「甲南大学 18号館 3階 講演室」に変更になりました。最寄り駅がひとつ東で、阪急なら「岡本」、JRなら「摂津本山」です。駅から徒歩15分です。(すみませんがホームページの更新に今しばらくお時間をください。) 2009.2.18記

※ おかげさまで、たくさんの方々に参加申し込みいただき、当初予定しておりました会場が手狭となりましたので、急遽会場を変更いたしました。ご参加いただく皆様にはご迷惑をおかけしますが、よろしくお願い申し上げます。

2008年12月26日 (金)

来年度のSC事業は…

ご無沙汰しております。

平成21年度予算案の政府案が12月24日に出されたようですね。財務省のホームページから、文教関連予算のポイントがわかるのですが…

「文教・科学技術予算(政府案)」の中に『「学校・家庭・地域連携協力推進事業費補助金」(143億円・新規)の創設』という項目があり、

 ○これまで文科省が行ってきたモデル事業を統合し、地域のニーズに応じて、

  1. 学校支援地域本部(学校運営に地域のボランティア等を活用)
  2. 放課後子ども教室(放課後の子どもの居場所確保にボランティア等を活用)
  3. スクールカウンセラー(問題を抱えた児童生徒のカウンセリング)
  4. スクールソーシャルワーカー(問題を抱えた児童生徒・保護者への対応)
  5. スクールガードリーダー(学校安全を守るボランティアに対する指導)
  6. 家庭教育支援(子育て相談、子育て講座等)

 のメニューから、自治体が選択し、国がその取組を支援

とあります。モデル事業は総額を3割以上削減とあります。今まで国がやって来たことを自治体の裁量に任せていく形で、総枠として削減される方向と言えばいいのでしょうか。どうやら、SCにとっても、SSWにとっても、状況は厳しいようです。

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