国家資格化の動向
久しぶりに、国家資格化関係のことを書きます。
臨床心理職の国家資格化の進み具合ですが、基本的には、2005年7月時点と同じ構造の中で、どの方向に道を開いていくか、それぞれの団体が検討と模索を重ねている状況です。それに加えて、この1年ぐらいで出て来た「日本学術会議」の新たな動きがあります。この動向にみなさんも注目していただきたいと思っています。
2資格1法案ショックから、すでに3年が経過しつつありますが、組織が動くということはこのぐらい時間がかかることのようです。会議ひとつするにも、「月」単位での時間が必要だということが、私にもよくわかって来ました。日程調整、会議、議事録の作成という手続きで、正式な大きい会議は3か月ぐらいはすぐかかってしまうのです。特に、たくさんの団体が参加している会議だと、いっそう時間はかかるのですね。
2005年7月体制というのは、すごくくどいようですが、全心協という団体が中心になって進めた「医療心理師」の流れと、(現に存在する)認定臨床心理士関連諸団体が中心になって進めた「臨床心理士」(注:国家資格の名前にもこの名称を使うという提案は、議員連盟からのものです。)の流れという、2つの流れが別々にあったものを、2005年7月に、2つの議員連盟が一緒になって「臨床心理士および医療心理師法案」という法案にまとめたが、まとまった法案に対して、日本精神神経科診療所協会や日本精神科病院協会をはじめとする精神科医療諸団体の強い反対が起きたために、その先がなかなか進まない状況のことです。
医療心理師推進と、臨床心理士推進との双方に、それぞれの関係団体が集まる推進協議会と、それに対応する議員連盟があります。議員連盟はどちらもなくなったわけではありません。関係諸団体の意向がまとまりさえすれば、すぐにでも法案を国会上程する体制で、議員連盟は待機している状況と言えます。関係諸団体の意見調整は、議員の方々にやってもらえるようなことではなく(国会議員がいかに忙しいかということです。)、要望の当事者が奮闘すべきことということになるようです。
それで、大きい動きが見えて来ているわけではありませんが、関係諸団体がそれぞれに、いろいろと調査したり話し合ったりして、おおかたの流れとしては、すでに作成されているこの「臨床心理士および医療心理師法案」を生かす形で進めようという考え方が現実的なのではないかという方向性が、少しずつ前に出て来てはいます。
この法案の問題点は、いろいろ指摘されていて、特に、医療心理師と臨床心理士が両方働くことになる医療領域から、「混乱する」という意見が出ていることが大きな問題だと思われます。精神科医療諸団体のその後の意見の変化などは聞こえて来ません。
そんな中、今日は、精神神経学会総会で「心理技術職」のことが取り上げられているようです。私は参加できませんが、どなたか参加された方、内容を教えてもらえるとありがたいです。
そして、この2つの流れに加えて、日本学術会議の心理学・教育学委員会心理学教育プログラム検討分科会と心理学・教育学委員会健康・医療と心理学分科会、この4月に発表した対外報告「学士課程における心理学教育の向上とキャリアパス確立に向けて」に現れている、新しい流れがあります。(上記の学術会議のホームページに入って、目次欄の「審議活動」内の「勧告・声明・提言・報告」をクリック→「対外報告の一覧を表示する」をクリック→2008-4-7の、「学士課程における…」の欄をクリックで読めます。pdfです。)
これを読みますと、日本学術会議では、学部レベルでの心理学教育を体系化し、心理学を応用する職業に必要な学部心理学教育を修めたことを保証するものとして、「職能心理士」という国家資格化の創設を推進しようということのようです。
日本学術会議の考え方でいきますと、「心理学」全体の学部レベルでの資格を作る必要性があるということですね。臨床心理士の資格は、修士課程の教育レベルを保証する資格、医療心理師の資格は、医療制度内でチーム医療への位置づけを保証する資格ということです。それぞれに性質が異なっています。
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ほんとうにややこしいことです。3つ別々の資格を作ることが可能なのか、それとも、3つの別々の流れの中で、何らかの政治的動きで先にできたものが国家資格となるのか、それとも、何らかの形で統合が可能なのか、どの道を取るにしても、関係者が本当に苦しんで話し合いをしていかないと前に進めないように思います。
国家資格は何のために必要なのか。あるいは、必要でないのか。
心理学や臨床心理学を通して人々の役に立つという仕事を、どのような形でこの国に普及するのか、その質をどう保証するのか、3つの流れの複雑さに混乱することなく、関係する人全体で、もう一度考えていかなくてはならないと思います。

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