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2007年5月30日 (水)

「修正」とのことですが

精神科関連の諸団体から、2005年に議員立法で作ろうとしていた「臨床心理士及び医療心理師法」の法案に対して修正の要望があるという件について、情報が、一般の方々、一般の心理専門職の方々には十分に行き渡っていないようなので、改めてそのことを書いておきます。

私は、昨年、日本心理学会と日本心理学諸学会連合の共催で行われた国家資格関連のシンポジウムで、日本精神科病院協会の方が、日本精神科病院協会の修正案を読み上げられたのを、直接聞きました。それは、公開のシンポジウムで発表されたものなので、ある程度ブログに書いても良いと判断して、当ブログの2006年11月11日のエントリ「2資格1法案への修正要求とは」に書かせていただいています。全心協の会員の方々には、先日のニュースNo.54で、日精協の修正案についての詳しい記事が届いていると思います。その内容も9項目で、概略は、当ブログの上記エントリの通りです。

上記9項目の修正が求められている理由のうち大事なことのいくつかをあげますと

  • 「臨床心理士」は、特定の団体の認定資格であるので、その名称をそのまま国家資格に使うのは混乱する。認定資格は、人数の多少はあっても、さまざまな団体が出しているので、その中のひとつだけを国家資格の名称とするのは不公平。
  • 国家資格の認定機関は、現行の認定資格の認定機関が行うのは、公正・公平でないので、そうでないことを明確に。
  • 医療の必要な人を、医療につながないままに心理士が関わり続けることは、その人にとって大変不利益なので、その責任を明確にすること。
  • 2資格1法案の「臨床心理士」にあたる部分と「医療心理師」にあたる部分に上下がないようにすること。
  • 医学および精神医学の知識を十分に持つこと。

というようなことなのですが、まず、認定資格の名称ということを言うと、公平に言えば、日本心身医学会が「医療心理士」の認定をしているので、「医療心理師」も認定資格と紛らわしいということがあって、あながち「臨床心理士」だけを責められない部分はあります。

これらの修正要求を読むと、医療心理師側には、認定資格「臨床心理士」が、かなりそのままに近い形で国家資格化されることに対して、強い危惧があるということが、根底のところで見え隠れしていると思います。このことに関しては、いろいろな立場からさまざまな考えを導き出すことが可能だと思いますが、詳細はまた後日にします。

「心理士が抱え込んで、医療の必要な人が医療にかかることが妨げられている」というのは、しょっちゅう言われていることですが、そのことに関しても本当はいろいろ議論が必要で、また改めて書きます。

学歴云々ということに関しては、全心協はずっと4年生大学卒業+2年間の現場研修を主張しています。私の印象では、全心協には、「4年生大学で基礎的な心理学を修めることが大事」という考えの幹部が多いようです。認定臨床心理士の指定大学院の内容が不十分であるという認識がその背景にあるようです。

それから「領域を分ける」という話に関しては、さらにややこしいのですが、冷静に考えれば、ずっと以前からネット上の議論でデスマさんたちが言ってくださっているように、また、はらちゃんが「なぜ領域を超えた資格が必要か」で書いてくださっているように、領域なんて所詮分けられるものではないという側面があると思います。

日精協の9項目を読むと、「医療心理師」=医療・福祉、「社会(<臨床)心理士」=その他としながら、“医療分野においてはどちらの資格も医師の指示を受けなければならない”と書いてあって、ムジュンしています。このあたりのことがロテ職人さんのエントリ「日本心理学諸学会連合のサイト(久々の)更新 - 国家資格化問題はどうなってる?」と関わって来るのではないかと思いますが、はからずもこのムジュンは、領域が分けられないという真実を露呈しているように思います。

実際、医療心理師の推進側には、医療心理師という資格をひとつ作って、それをどの領域でも通用させればいいのではという意見が全くないとは言えないでしょう。

こうやって、なかなか抜けられない迷いの森をグルグルとさまようかのような議論になるのですが。

(A) 社会の中で、心理学・臨床心理学に基づく対人サービスをできる限り適正な形で提供するための制度の整備として何が必要なのか

これが、大切な本質的な議論です。ですが、上記の修正案の内容を見てもわかるように

(B) 既存の認定資格のうち、特に有資格者が多く、社会的認知度も高く、組織力があってさまざまな仕事に組織的に取り組んでいる「認定臨床心理士」に対して、その活動に賛成できない方々の持っている不公平感、あるいは、その活動を評価できないと思っている方々からの批判

という話とが、この「2資格1法案」論議の中では、いつもごちゃ混ぜになっているように感じます。

このようなごちゃまぜ感は、国家資格化を推進する組織がたくさんあって、さまざまな立場が入り乱れることから生じている「情報の行き渡りにくさ」「話し合いのしづらさ」の結果なのではないかと、私は思っています。

この修正案は、実はまだ、正式にはどこにも発表・伝達されていないものです。今後、正式に、「代表団体」→「代表団体」という修正案の提示要望がなされるのかもしれませんが、根本的なムジュンや混乱を含んだままの修正要求が、良い方向を開くことができるのかどうか、よく考えていかなければならないと思っています。

これは、結局のところ、今ある推進団体、今ある法案が、そのままで建設的な方向を見出せるのか、本当に良い結果が出せるのかということにつながっていきそうなのですが…。

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