学部教育の充実と臨床心理士
昨日のオンラインニュースのひとつに、法科大学院の新司法試験合格率低下についてのものがありました。たとえば、YOMIURI ONLINE には9月11日水曜日20時7分の「法科大学院対象の司法試験、合格率32.98%に大幅低下」という記事があります。それによると、新司法試験は3回目になりますが、第1回の合格率は48.25%、今年度は32.98%で、昨年度から7.2ポイント減とのことです。
合格者は2065人で、2100~2500人程度に設定されていた合格者数の目標には達していないようですが、法務省は「法曹に必要な質を備えた人」がその人数に達しなかったからと説明しているそうです。なかなか司法試験は厳しいですね。今回は、合格者ゼロの大学院が3校あったとか。大学院の統廃合が検討されているという話もあります。
この記事の中で私が注目したのは、「合格者のうち大学の法学部を卒業するなどした法学既修者は1331人で、合格率は44・34%と昨年(46・01%)の微減にとどまったが、法曹人口の増加に向けて期待されている社会人出身者などの未修者は734人で、合格率も22・52%と昨年(32・35%)を大幅に下回った。」という部分です。
つまり、学部でも法学を修めた人たちと、法科大学院だけで勉強した人たちとの間に差が出たということですね。
臨床心理学と法学とを同じようには論じられないと思いますが、法科大学院は、「大学院における高度専門職業人の養成」を目指している「臨床心理士」にとって、専門職大学院のひとつのモデルとして参考になる存在だと思います。
現在の「臨床心理士」の課題のひとつに、大学院修士課程の2年間だけでは、いろいろと足りないことが多いということがあると思います。その点は、臨床心理士の指定大学院側もさまざまに取り組んでおり、学部で心理学・臨床心理学をしっかり勉強した大学院生が多くなっていると聞いています。
その点に関して、9月8日月曜日、ちょうど日本心理臨床学会が終わった次の日ですが、日本学術会議から「医療領域に従事する職能心理士(医療心理)の国家資格法制の確立を」と題する8月28日付けの提言が公表されました。(日本学術会議のホームページはこちら)
すでに、ブログでもこの提言のことを取り上げている記事があります。おなじみafcpさんのブログ(A Foward-looking Child Psychiatrist)では「日本学術会議による職能心理士(医療心理)の国家資格化提言」として、はらぶろでは「学術会議の「提言」について」として、それぞれの視点からまとめられています。特に、afcpさんは、非常にわかりやすい表を書いてくださっていますので、是非ごらんください。
日本学術会議は、学部段階の心理学教育の充実を通してどのように職業人としての心理士を養成するかを検討しており、その意味では、大学院教育を重視している臨床心理士の方向性を補完できる議論を展開しているとも言えそうです。
・・・これは、単なる私のつぶやきですが、臨床心理士補(学士)+臨床心理士(修士号)+上級臨床心理士(博士号)というような形で、しっかりした臨床心理学の修得に、基礎系心理学と医学系・社会系科目、および現場実習を十分に取り入れれば、きっととてもすばらしい養成ができるのになと思ったりします。何につけても長い時間をかけてひとつのことをするのが、質の向上にとって大切であることは、新司法試験の上記の結果が証明しているように思われます。
上記の提言は、「2資格1法案」とはまた別のところから出たもののようですが、ユーザーにとってなるべくわかりやすく使いやすいひとつの資格に近づくことができるように、いろいろなアイディアを持っている人たちが、ひとつのテーブルについて話し合うことが、やはり何よりも大切だと思います。

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