国資格問題の動向
日本心理臨床学会第27回大会が終わりました。
金曜日には、国資格関係のシンポジウムがありました。私は都合で、少し遅刻して参加しました。一参加者の立場から、私が理解したことを書きます。
今回は、医療心理師推進協議会の会長の織田先生が公式にシンポジストをされたということが、この問題の進展の状況を示していたと思われます。
野島一彦先生は、日本心理学諸学会連合の流れを全般的に説明され、「協調と共栄」の時代であると述べられました。
織田先生は、医療心理師側の動きや、「2資格1法案」の要綱案の解説も含め、全般を丁寧に解説されました。
お二人の先生方のわかりやすい説明で、あらためて、今日までの経過が、客観的に明確に理解できました。
その上で、日本心理臨床学会の鶴理事長が、各関連団体や関係者との調整の努力が続いていることや、その中で「みなさんは国民に目が向いていますか?」との大切な指摘があったことを述べられました。
また、日本臨床心理士会の村瀬嘉代子会長は、とある法科大学院の取り組みについて触れられ、臨床心理士も、国際的に通用するレベルで厳しく「質の向上」に努力しなければならないということを強調されました。
質疑応答の時間には、地元の先生のようですが、織田先生のご登壇への感謝の声があがり、フロアから拍手がありました。
それから、学会理事の冨永良喜先生が、「私は1資格が理想だが、現実的に考えれば、早く作る必要がある。諸外国を見れば、インドネシアのスクールカウンセラーは常勤だし、中国も国家資格がある。具体的にどうするのがよいのか。」と発言されました。
全体として、医療心理師側と臨床心理士側に分かれていた流れを、「2資格1法案」を軸にひとつにまとめていこうという流れが感じられました。現実的には、「2資格1法案」に反対している医療関連諸団体との交渉はまだまだこれからであり、また、学術会議の職能心理士の動きもあります。しかし、少なくとも医療心理師を推進するグループと、臨床心理士を推進するグループが「ずいぶん話しやすくなった」という感じは確かなものだと思えます。
あらためて書いておきますが、私は、全心協の役員の末席に加わりつつ、臨床心理士としても組織の活動に参加させていただいていますが、それは、できるかぎり関係者全体でコミュニケーションをはかって「社会の人々のために何が必要か」を考えていけるよう、何か自分の立場でできることがないかと思っているからです。特定の団体が、特定の団体の考えで先走ることには反対です。(医療心理師側の行って来たことは、その点に大きな反省点があると思っています。)
次の日曜日(9月14日)は、全心協の総会があります。会員の皆様のご参加をお待ちしています。

中国の国家資格は、心理諮詢師で、諮詢はカウンセリングを意味するようです。インドネシアのカウンセラーは、進路指導を含むようです。中国は、オリンピックのメダルばかりか、臨床心理の体制化が一気に進むように思います。中国は、学校に教育相談室はあるそうですが、人(スクールカウンセラー)はいないようです。”カウンセリング=おかしな人が行く”といった誤った意識が根強くあるようですが、それも変わっていくでしょう。
日本は、スクールカウンセラー事業の予算削減にみられるように、この制度の行く末が危惧されます。
スクールカウンセラーの活動にも多くの課題があります。しかし、まずは、枠をきっちりつくり、安定した職業として成立する必要があります。もちろん、きちんとしたスクールカウンセラー評価により、継続、再研修、継続不可、といった査定を受けることも当然です。
子どもの自殺が社会問題化したときだけ、年度末にスクールカウンセラーの予算を増やし、次年度は、どんと削減するといった施策は、もうやめてほしいですね。10年、20年といった長期を見据えた施策を展開するためにも、臨床心理職の国家資格は必要です。
もうすぐ、衆議院議員選挙がありますよね。マニフェストに、「臨床心理職の国家資格法案をすぐに上程します」と書いてくれる候補者を応援する運動を展開しませんか?
投稿: Tominaga,Y | 2008年9月 8日 (月) 04時32分
Tominaga先生
コメントありがとうございます。アジアの諸外国の状況を教えていただいて参考になりました。
> スクールカウンセラーの活動にも多くの課題があります。
> しかし、まずは、枠をきっちりつくり、安定した職業として成立する必要があります。
そうですね。このままだと、不安定な職業だからスクールカウンセラーが流動する→評価が下がり、余計に予算が削減されて不安定になる…という悪循環が始まる可能性もあると思います。
職業として社会の中で安定した機能を果たすために、施策にどう位置づけられるのがよいのかを議論する中で、資格の問題も総合的に方向が定まると良いと思います。
厚労省と文科省の双方への働きかけも必要なのでしょうね。
衆議院選挙…経済政策に焦点があたりそうですが、経済が安定するにはまず「人」からということで、臨床心理を応援してくださる議員が超党派的に増えることが望ましいと思います。
また何か具体的な動きがあったら教えてください。
今後ともよろしくお願い申し上げます。
投稿: つなで | 2008年9月 8日 (月) 08時31分